縮毛矯正で使われてる還元剤って何?成分の役割と仕組みを解説

癖毛の方は髪にボリュームが出過ぎたり、パサついたりと、悩みがつきものです。

そんな悩みを解決してくれるのが縮毛矯正ですが、この縮毛矯正には「還元剤」という成分が深く関わっています。

しかし「還元剤」と聞いても、一体どんな役割を持っているのか、髪にどう反応しているのか、理解しにくいかもしれません。

本記事では、一般の方向けに、還元剤の役割や仕組み、種類などを詳しく解説していきます。

目次

還元剤の役割とは?

還元剤の役割は、髪の内部に存在する化学結合を切ることで、髪の形を変えやすくすることです。

髪の毛は、ケラチンと呼ばれるタンパク質が主成分となっており、このケラチンが「シスチン結合」と呼ばれる強い結びつきをしています。

シスチン結合は、髪の構造を保つために重要な役割を果たしていますが、この結合が硬く結ばれているため、元のくせ毛やうねりが生まれるのです。

還元剤は、このシスチン結合を一時的に断ち切ることで、髪の形状を自由に変更できるようにしてくれます。

この結合を断ち切ることで、ストレートにしたり、パーマをかけたりといった自由なデザインが可能になります。

還元剤がなければ、髪は形状記憶のように元の状態に戻ってしまうため、理想のスタイルを維持することは難しくなります。

麻野

縮毛矯正だけでなくパーマにも還元剤が含まれています。

還元剤の仕組み:髪にどのように反応するのか?

還元剤が髪に作用する仕組みは「還元反応」と呼ばれる化学反応によって行われます。

具体的には、以下の手順で髪に変化をもたらします。

  1. 還元反応を起こす
    還元剤を髪に塗布すると、シスチン結合が切れ、髪が柔らかくなります。この状態では髪が弾力を失い、形を変えやすくなります。
  2. 形を固定する
    還元剤で結合を切った後、アイロンやロッドなどを使って髪に新しい形を与えます。縮毛矯正ではアイロンを使用してストレートに、パーマではロッドを巻いてカールを作り出します。
  3. 酸化剤で固定する
    最後に「酸化剤」を使って、髪に新しくつけた形状を固定します。酸化剤は切断されたシスチン結合を再結合させるため、髪が新しい形状で硬化し、持続性が生まれます。

この一連の流れによって、髪は形を変え、新しいスタイルが長期間保たれるようになります。

還元剤の種類

還元剤にもさまざまな種類があり、目的や髪質によって使い分けることが重要です。代表的な還元剤には以下のようなものがあります。

  1. チオグリコール酸
  2. システアミン
  3. システイン
  4. サルファイト系還元剤
  5. エステル系還元剤
  6. チオグリコール酸システアミン

以下に、各還元剤の特徴を簡潔にまとめました。


1. チオグリコール酸

  • 特徴:
    • 還元力が非常に強く、強いクセ毛や縮毛矯正に向いている。
    • 酸性な為アルカリに寄せて使用されることが多く、髪のキューティクルを開きやすい。
    • 独特の刺激臭がある。
    • 強い還元力によりダメージを与えやすいため、扱いに注意が必要。
  • 用途:
    • 縮毛矯正、しっかりとしたパーマ。
麻野

チオグリコール酸は、縮毛矯正やパーマで最も一般的に使用される還元剤です。

還元力が非常に強く、シスチン結合をしっかり切るため、強力なストレート効果や持続力が得られるのが特徴です。

ただし、強力であるがゆえに髪や頭皮に負担をかけることがあるため、施術者の経験で仕上がりが左右されます。


2. システアミン

  • 特徴:
    • 還元力は中程度で、柔らかい仕上がり自然なストレートに適している。
    • チオグリコール酸に比べ、髪へのダメージが少ない。
    • アンモニアに似た臭いがある。
    • 低アルカリ性でも作用しやすい。
  • 用途:
    • ダメージ毛、エイジング毛向けのパーマや縮毛矯正。
麻野

システアミンは、チオグリコール酸に比べて髪や頭皮に優しい還元剤です。

ダメージを抑えたい場合や、敏感肌の方にも適した成分と言えます。

また、独特のにおいが少ないため、快適に施術が受けられる点もメリットです。

還元剤の中では珍しくアルカリ性。


3. システイン

  • 特徴:
    • アミノ酸由来で髪への負担が非常に少ない、最もマイルドな還元剤の一つ。
    • 仕上がりは柔らかく、ナチュラルなカールを作るのに適している。
    • 酸性や低アルカリ性でも使用可能。
    • 臭いが少ない。
  • 用途:
    • コスメパーマ、ダメージ毛やエイジング毛向けの施術。
麻野

システインは、アミノ酸の一種であり、髪の主成分であるケラチンにも含まれる成分に近いため、髪に優しい還元剤です。

髪質が細い方や、軽いウェーブをかけたい場合に適しており、仕上がりも自然でツヤが出やすいという特徴があります。

ただし、還元力がやや弱いため、縮毛矯正のような強いストレート効果には不向きです。


4. サルファイト系還元剤

  • 特徴:
    • 主成分は亜硫酸塩やピロ亜硫酸塩で、還元力が弱く髪への負担が非常に少ない。
    • 低アルカリ性や酸性環境でも作用する。
    • 臭いがほとんどなく、施術中の快適性が高い。
    • 作用が穏やかなため、強いクセ毛には向かない。
  • 用途:
    • ダメージ毛や敏感肌向けのナチュラルな施術。
麻野

サルファイト系は、他の還元剤に比べて効果が穏やかで、髪への負担が少ないとされています。

システイン同様、縮毛矯正には不向きです。


5. エステル系還元剤

  • 特徴:
    • グリセリンモノチオグリコレート(GMT)やスピエラ(スピオグリ酸コール)などが代表的。
    • 還元力は控えめで、髪への負担が少ない。
    • 臭いが控えめ。
    • 低アルカリ性や酸性環境で使用可能。
    • 柔らかく自然な仕上がりを作る。
  • 用途:
    • ダメージ毛、敏感な髪質向けの施術(ボリュームダウンや柔らかいウェーブ)。

GMT(グリセリルモノチオグリコレート)

GMTは、髪へのダメージを抑えながらも、しっかりと形を変えられる還元剤。

GMTはpHが中濃度に近いため、髪や頭皮への負担が少ないのがメリットです。

また、GMTは髪の内部に深く浸透しやすいため、しなやかで自然な仕上がりが得られます。

弱くなる場合もありますので、技術力が必要。

スピエラ(スピオグリ酸コール)

スピエラは、酸性領域でする作用還元剤。

通常の還元剤がアルカリ性で作用するのに対し、スピエラは酸性で髪の形状を変えられるため、髪へのダメージ特に、繰り返しのカラーや縮毛矯正でダメージがあった髪に向いており、ツヤや弾力を見据えつつ柔らかな仕上がりを得られます。

酸性であるため髪が膨らみにくく、きめ細かいスタイルが可能です。

エステル系還元剤のデメリット

髪内部に浸透しやすいが残留しやすく抜けにくい。

エステル系還元剤には、髪の内部に浸透しやすい特徴がありますが、その裏側、髪に残りやすいという点も注意が必要です。

施術後も髪に残留してしまうことで日常生活でダメージが強くなってしまうこともあります。

柔らかくし、自然な質感を引き出しますが、この成分が髪に残りやすいため、施術後の後処理が重要になります。


6. チオグリコール酸システアミン

  • 特徴:
    • 高い還元力とダメージ軽減の両立
      チオグリコール酸の持つ強力な還元力により、髪のシスチン結合を確実に切断し、強いストレート効果やカールをかけてます。頭皮の負担が軽減されるため、ダメージリスクを抑えた施術が可能です。
    • 持続力と自然な仕上がり
      チオグリコール酸システアミンは、還元力が強いにもかかわらず、髪への仕上がりが柔らかく、自然な質感が得られる点が特徴です。そのため、持続力がありながらも髪が硬くならず、柔らかさやしなやかさを保って、特に縮毛矯正やパーマのためにナチュラルな仕上がりを求める方に適しています。
    • 臭いはやや強めだが、施術効果が高い。
    • 幅広い髪質に対応可能。
  • 用途:
    • ダメージ毛やエイジング毛にも使いやすい縮毛矯正やパーマ。
麻野

チオグリコール酸システアミンは、還元剤としての強力な働きを持ちつつ、髪や頭皮への負担を抑えた複合成分です。

チオグリコール酸システアミンは、強力なストレートやカール効果を維持しつつ、髪への負担を考慮することができるため、Pilastro Hairでは多くのお客様の髪質や要望に対応できる基本還元剤として使用しています。


比較表

還元剤還元力仕上がりダメージ臭い主な用途
チオグリコール酸強いしっかりとしたカールや直線多い強い縮毛矯正、強いクセ毛の矯正
システアミン中程度柔らかいストレート少ないやや控えめダメージ毛やエイジング毛の施術
システイン弱いナチュラルで柔らかい仕上がり非常に少ない少ないコスメパーマ、ダメージ毛の施術
サルファイト系還元剤弱い非常に穏やか非常に少ないかなり少ないダメージ毛、敏感肌向けの施術
エステル系還元剤中~弱自然な質感と柔らかさ少ない少ないダメージ毛、ボリュームダウン
チオグリコール酸システアミン中~強クセをしっかり伸ばしつつ自然比較的少ないやや強めダメージ毛やエイジング毛の縮毛矯正やパーマ

還元剤の種類による施術への影響

還元剤の種類によって、施術の仕上がりや持続力、髪へのダメージなどが異なります。

例えば、強力な還元力を持つチオグリコール酸を使用すると、しっかりとストレートにできますが、その分髪への負担が大きくなる可能性があります。

一方で、システインやシステアミンのような穏やかな還元剤を使うと、ダメージを抑えた自然な仕上がりが得られますが、持続力がやや弱くなる場合もあります。

まとめ

還元剤は、髪の形を変えるために欠かせない成分であり、縮毛矯正やパーマに深く関わっています。この記事では、還元剤がどのように髪に作用するのか、そしてその種類について簡単にご説明しました。

それぞれの還元剤には特徴があり、仕上がりの質感や髪への負担が異なります。美容師はお客様の髪質や希望のスタイルに合わせて適切な還元剤を選んでいますので、安心して施術をお任せください。

もし縮毛矯正やパーマに興味がある方は、お気軽にサロンでご相談くださいね!髪質に合ったベストな方法で、理想のスタイルを実現するお手伝いをいたします。

Q&A

還元剤って何ですか?

還元剤は、縮毛矯正やパーマで使用される成分で、髪の内部の結合を一時的に切ることで、形を変えやすくする役割があります。これによって、ストレートヘアやカールなど、スタイルを作ることができます。

還元剤は髪にダメージを与えますか?

還元剤は髪の内部構造に働きかけるため、適切に使わないとダメージが出ることがあります。ただし、プロの美容師が髪質や状態に合わせて適切な還元剤を選び、ケアしながら施術するので、過度な心配は必要ありません。

還元剤の種類はどんなものがありますか?

代表的な還元剤には、以下のようなものがあります。

  • チオグリコール酸:強いクセ毛に対応。
  • システアミン:ダメージを抑えた柔らかい仕上がり。
  • システイン:髪に優しく、自然な仕上がり。
  • サルファイト系:非常に穏やかで敏感な髪に向いています。
  • エステル系:自然な質感とツヤを引き出します。

これらを髪質や希望の仕上がりに合わせて使い分けています。

縮毛矯正とパーマで使う還元剤は違うんですか?

基本的には同じ還元剤が使われますが、縮毛矯正ではストレートにするため、より強い還元力が求められる場合があります。一方で、パーマでは柔らかいカールを作るため、マイルドな還元剤が選ばれることが多いです。

どの還元剤が私に合っていますか?

それは髪質や希望する仕上がりによって変わります。例えば、強いクセ毛をしっかりストレートにしたい場合はチオグリコール酸が適しており、ダメージを抑えたい場合はシステアミンやシステインが使われます。美容師がカウンセリングを通して最適な還元剤を選びますので、ご安心ください。

縮毛矯正やパーマの持続期間は還元剤によって変わりますか?

還元剤の種類よりも、お客様の髪質やライフスタイル、アフターケアが大きく影響します。ただし、還元力が強い還元剤を使うほど、形状の持続力は高い傾向にあります。

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この記事を書いた人

完全マンツーマン施術で年間500件以上の縮毛矯正と髪質の悩み改善メニューを施術。
機械音痴が調べながらブログに奮闘中です!
くせ毛のお客様を中心に縮毛矯正、髪質の悩み改善&ダメージレスにこだわった施術を提供しております。

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